キリンラガービールのCMに、YMOが出演しています。3人がそろって登場するのは、いったい何年ぶりでしょうか。
このCM。話を聞いて、キリンのウェブサイトに行って見たんですが……思わず汁が噴出しました。
私は、やはり使用機材に目を奪われました。
まず目につくのは、ドラムの高橋氏の後ろにおわします伝説のシンセ「MOOG IIIc」。置物じゃないですよ。"タンス"なんて呼び名もありますが、コードをバシバシ挿して音作りをするシンセです。
細野氏が弾いているのは、"出っ歯"と呼ばれる(鍵盤がはみ出していることから)ARP Odysseyというシンセ。このCM曲の『RYDEEN』の元のバージョンでも使用されていました。
坂本氏は、「Moog」と「トイピアノ」を弾いていますね。
3人とも、まぁそれなりに年齢を重ねているのですけれど、非常にいい表情ですね。人間の厚みがにじみ出ていました。
YMOといえば電子楽器なんですが、ゲーム音楽の歴史も、電子音楽の歴史と重なる部分があります。ファミコンの時代には、ノイズのような音しか出せませんでしたが、今では携帯ゲーム機でも、かなりクリアな音を出します。
当時のYMOも、機材にはだいぶ苦労した面もあるそうですが、その制約のなかでも、楽曲は高度な音楽理論やシーケンスと手弾きの融合によるもので、本質的な部分がしっかりしていたから、今でも高い評価を受けているわけです。
作曲をするなかで、音数がたくさん使えると、けっこうズル(?)をして、音でごまかしたりしちゃうことがあるんですよ。
いつも気をつけてはいるのですが、どうやってもその音しか使えない、という状況でない時以外は、なかなかシンプルに楽曲やコードだけの勝負から逃げてしまいがちです。
時代は変わるけれど、変わらないもの、変わってはいけないものもある。
いつも気をつけていきたいですね。